ポストプロセッサーとは、CAMソフトで生成された中立的なツールパスデータを、工作機械ごとに対応したNCコードへ変換するための機能です。ツールパスが「設計図」だとすれば、ポストプロセッサーはそれを「機械が読める指令書」に翻訳する役割を担います。
この仕組みがなければ、いくら高度なツールパスを作成しても、実際の工作機械は動作できません。そのため、ポストプロセッサーはCAD/CAMから現場機械加工へと橋渡しする、最終かつ極めて重要な工程です。
ポストプロセッサーは、各メーカーや機種ごとに異なるNC言語・制御仕様に合わせてコードを出力します。例えば、同じ5軸加工でも、FANUC、Siemens、Heidenhainなどの制御装置ごとに解釈ルールが異なります。
ポストプロセッサーを適切に設定・カスタマイズすることで、工具動作を正しく制御し、安全かつ効率的な加工を実現できます。
ポストプロセッサーは単なる変換装置ではなく、加工条件に応じた最適化を行います。送り速度の制御、スピンドル回転数の調整、補間方式の指定などを適切に反映させることで、加工精度や工具寿命を左右する大きな要素になります。
5軸や複合加工機では、姿勢制御や回転軸の動きをNCコードに落とし込む必要があります。ポストプロセッサーはこれを考慮し、工具がスムーズにワークへ到達するように出力します。
工具交換のコマンド、クーラントのON/OFF、補正値の呼び出しなど、機械ごとに異なる独自仕様を正確に盛り込むのもポストプロセッサーの役割です。これにより「NCデータは出力できたが現場では使えない」といったトラブルを防止します。
適切にチューニングされたポストプロセッサーを導入すれば、NCコードの互換性問題や誤動作を防ぎ、段取り時間の短縮や加工停止リスクの低減が可能です。
夜間や休日の無人稼働では、1行のNCコードエラーが致命的なライン停止につながります。ポストプロセッサーで出力されるNCコードを標準化しておけば、無人加工でも安心して運用できます。
従来はベテラン技術者が現場でNCコードを直接修正するケースが多くありました。しかし、ポストプロセッサーで自動生成できれば、人に依存しない安定的なNCデータ運用が可能になり、教育コストの削減にもつながります。
ポストプロセッサーの利用は、基本的に「ツールパス作成 → シミュレーション → 干渉チェック」の後に行われます。流れを標準化すれば、出力されるNCデータの品質も均一化できます。
ポストプロセッサーで生成したNCコードに問題がある場合は、以下のような対応が考えられます。
問題対応をルール化しておけば、現場オペレーターの判断スピードと精度が向上します。
ポストプロセッサーは、導入するだけでなく自社の現場に合わせてカスタマイズすることが肝心です。
ポストプロセッサーは、ツールパスを実際の工作機械に対応させる“最後の要”として、NCデータ品質と生産効率を左右する重要な機能です。
適切なカスタマイズと標準化により、現場トラブルを防ぎ、無人運転や製造DXの実現に貢献します。
属人化を解消し、誰でも安全で精度の高いNCデータを出力できる環境づくりに欠かせない仕組みです。
複雑化する加工ニーズに応えるには、目的や工程に応じたソフト選びが欠かせません。
本特集では、2.5D〜5軸加工に対応したソフトを「属人化防止」「ロボット連携」「低コスト運用」などの観点からわかりやすく整理。現場の課題にフィットする1本を選ぶための視点を提示します。
5軸分野における実績多数
NCシミュレーションも実装
必要最低限の機能が
月額1万円台から運用できる
※1.参照元:OPEN MIND公式サイトhttps://www.openmind-tech.com/jp/about-us/
※2.サポート対象加工機に一部制限あり
※3.参照元:AUTODESK公式サイト
https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview
(情報は2025年6月6日時点)