ツールパス作成とは、NC工作機械における工具の動きを定義し、実際の加工工程を指示するための機能です。設計した3Dモデルや形状データをもとに、工具がどの経路を通り、どの順序で加工を行うかを自動生成します。
この機能は、設計データから製造データへと橋渡しを行う中核であり、加工精度・生産性・安全性を大きく左右します。一般的に、加工対象のモデルを読み込んだ直後にツールパスを作成し、シミュレーションや干渉チェックに進む流れで利用されます。
ツールパスは、切削工具の径・形状・回転数・送り速度などの条件を考慮して生成されます。また、荒取りから仕上げ加工に至るまでの一連の工程に応じて、切削負荷や工具寿命、加工時間を最適化するように制御されます。
2軸加工、3軸加工はもちろん、複雑な5軸加工では工具姿勢や傾斜角度を自動計算し、ワーク全体を効率よく加工できるツールパスが生成されます。
CAMソフトでは、ツールライブラリから工具を選択後、加工領域や条件を指定してツールパスを自動生成します。その後、シミュレーションで動作確認を行い、必要に応じてパラメータや工程順を調整します。
特に多品種少量生産や短納期対応が求められる現場では、ツールパス作成を効率化することで、NCデータ作成から加工開始までのリードタイムを大幅に短縮できます。
適切なツールパスを設定することで、工具の無駄な移動を減らし、加工時間の短縮や切削負荷の均一化を実現できます。これにより、設備稼働率が向上し、生産効率を高めることが可能です。
ツールパスの設定は、仕上げ面の粗さや寸法精度に直結します。形状に合わせて送り速度や切り込み量を最適化すれば、高精度かつ安定した品質を確保できます。
ツールパス作成の自動化は、夜間稼働や無人ラインでのトラブル防止にも貢献します。標準化されたツールパス生成ルールを運用すれば、オペレーターの経験差に依存せず安定したNCデータを作成することができます。
ツールパス作成は、実加工前に必ず行うべき工程です。操作フローを標準化して共有しておけば、誰が作業しても同じ品質のNCデータを出力できます。
ツールパス生成で不具合や問題が発生した場合は、以下のような対応を行います。
標準的な対応パターンを共有しておくことで、オペレーター教育や無人稼働時の安定運用にも役立ちます。
ツールパス作成は条件設定次第で大きく結果が変わります。以下のポイントを押さえることで、効率と品質を両立したNCデータが作成できます。
ツールパス作成は、設計データを効率的かつ安全に加工現場へ橋渡しする要となる工程です。
最適化されたツールパスにより、加工時間の短縮・工具寿命の延長・品質の安定化を実現できます。
属人化を防ぎ、誰でも同じ品質でNCデータを作成できる点は、今後の自動化や製造DX推進において不可欠です。
複雑化する加工ニーズに応えるには、目的や工程に応じたソフト選びが欠かせません。
本特集では、2.5D〜5軸加工に対応したソフトを「属人化防止」「ロボット連携」「低コスト運用」などの観点からわかりやすく整理。現場の課題にフィットする1本を選ぶための視点を提示します。
5軸分野における実績多数
NCシミュレーションも実装
必要最低限の機能が
月額1万円台から運用できる
※1.参照元:OPEN MIND公式サイトhttps://www.openmind-tech.com/jp/about-us/
※2.サポート対象加工機に一部制限あり
※3.参照元:AUTODESK公式サイト
https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview
(情報は2025年6月6日時点)