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ツールパス作成

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目次

ツールパス作成とは?
基本概要と役割

機能の定義と作成タイミング

ツールパス作成とは、NC工作機械における工具の動きを定義し、実際の加工工程を指示するための機能です。設計した3Dモデルや形状データをもとに、工具がどの経路を通り、どの順序で加工を行うかを自動生成します。

この機能は、設計データから製造データへと橋渡しを行う中核であり、加工精度・生産性・安全性を大きく左右します。一般的に、加工対象のモデルを読み込んだ直後にツールパスを作成し、シミュレーションや干渉チェックに進む流れで利用されます。

作成対象と考慮範囲

ツールパスは、切削工具の径・形状・回転数・送り速度などの条件を考慮して生成されます。また、荒取りから仕上げ加工に至るまでの一連の工程に応じて、切削負荷や工具寿命、加工時間を最適化するように制御されます。

2軸加工、3軸加工はもちろん、複雑な5軸加工では工具姿勢や傾斜角度を自動計算し、ワーク全体を効率よく加工できるツールパスが生成されます。

現場フローへの組み込み例

CAMソフトでは、ツールライブラリから工具を選択後、加工領域や条件を指定してツールパスを自動生成します。その後、シミュレーションで動作確認を行い、必要に応じてパラメータや工程順を調整します。

特に多品種少量生産や短納期対応が求められる現場では、ツールパス作成を効率化することで、NCデータ作成から加工開始までのリードタイムを大幅に短縮できます。

ツールパス作成の重要性

加工効率の最大化

適切なツールパスを設定することで、工具の無駄な移動を減らし、加工時間の短縮や切削負荷の均一化を実現できます。これにより、設備稼働率が向上し、生産効率を高めることが可能です。

高精度・高品質加工の実現

ツールパスの設定は、仕上げ面の粗さや寸法精度に直結します。形状に合わせて送り速度や切り込み量を最適化すれば、高精度かつ安定した品質を確保できます。

無人化と自動化への対応

ツールパス作成の自動化は、夜間稼働や無人ラインでのトラブル防止にも貢献します。標準化されたツールパス生成ルールを運用すれば、オペレーターの経験差に依存せず安定したNCデータを作成することができます。

ツールパス作成の使い方

現場で実行すべき操作フロー

ツールパス作成は、実加工前に必ず行うべき工程です。操作フローを標準化して共有しておけば、誰が作業しても同じ品質のNCデータを出力できます。

【基本フロー】

  1. 加工対象モデルをCAMに読み込む
  2. 工具ライブラリから使用工具を選択
  3. 加工条件(切削速度、送り量、切り込み深さなど)を設定
  4. ツールパスを自動生成
  5. シミュレーションで加工動作を確認
  6. 必要に応じてパラメータ修正 → 再生成
  7. 干渉チェックを経てNCコードを出力

トラブル発生時の実務的な対応方法

ツールパス生成で不具合や問題が発生した場合は、以下のような対応を行います。

標準的な対応パターンを共有しておくことで、オペレーター教育や無人稼働時の安定運用にも役立ちます。

ツールパス作成の使い方とポイント

効率と品質を高める設定ポイント

ツールパス作成は条件設定次第で大きく結果が変わります。以下のポイントを押さえることで、効率と品質を両立したNCデータが作成できます。

まとめ

ツールパス作成は、設計データを効率的かつ安全に加工現場へ橋渡しする要となる工程です。

最適化されたツールパスにより、加工時間の短縮・工具寿命の延長・品質の安定化を実現できます。

属人化を防ぎ、誰でも同じ品質でNCデータを作成できる点は、今後の自動化や製造DX推進において不可欠です。

【課題別】
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  •        
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※1.参照元:OPEN MIND公式サイトhttps://www.openmind-tech.com/jp/about-us/
※2.サポート対象加工機に一部制限あり
※3.参照元:AUTODESK公式サイト https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview
(情報は2025年6月6日時点)