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シミュレーション機能

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目次

シミュレーション機能とは?
基本概要と役割

機能の定義と実行タイミング

CAMにおけるシミュレーション機能とは、生成されたツールパスを仮想空間で再現し、加工結果や動作の妥当性を事前に検証するための仕組みです。NCコードを機械に送信する前に、切削経路・工具挙動・ワーク形状の変化を可視化することで、実加工に伴うリスクを大幅に低減できます。

この機能は、ツールパス作成直後や干渉チェックの前後など、加工開始前の工程で実行されるのが一般的です。

判定対象の範囲

シミュレーションでは、工具とワークの接触状態だけでなく、加工後の形状精度や切削負荷まで幅広く確認できます。さらに、加工時間の見積もりや工具摩耗の予測など、生産計画に役立つ情報を得ることも可能です。

2軸加工から5軸加工、さらには複合加工機まで対応し、実機さながらの動きを画面上で再現できます。

現場フローへの組み込み例

一般的なフローでは、ツールパス作成後にシミュレーションを実行し、形状や動作を確認します。干渉チェック機能と併用すれば、危険なツール挙動や不具合をより確実に排除可能です。

特に夜間無人運転や試作レス生産を行う場合、シミュレーションを標準化しておけば、トラブルの予兆を事前に検出できます。

シミュレーション機能の重要性

不良品・設備トラブルの未然防止

シミュレーションを行わずに加工を実施すれば、工具破損やワークの加工不良が発生しやすくなります。事前に動作を確認しておくことで、加工現場での致命的なミスを防止することが可能です。

加工時間とコストの最適化

加工経路や送り条件を可視化することで、無駄な移動や過剰な切削を発見できます。これにより、加工時間の短縮や工具寿命の延長につながり、トータルコスト削減に貢献します。

教育・標準化への活用

従来はベテランの経験に依存していた工程検証も、シミュレーションを使えば新人や中堅オペレーターでも同じレベルで確認可能。属人化を防ぎ、作業品質を標準化する点でも重要です。

シミュレーション機能の使い方

現場で実行すべき操作フロー

シミュレーションは、加工前の安全確認と品質保証を目的に必ず実行すべきステップです。以下のフローを守ることで、再現性の高いNCデータが作成できます。

【基本フロー】

  1. ツールパスを作成
  2. シミュレーション機能を実行(ワーク加工形状や工具動作を再現)
  3. 干渉や切削不具合の有無を確認
  4. 加工時間・負荷などの解析結果をチェック
  5. 問題があれば条件や工具を修正 → 再シミュレーション
  6. 最終確認後、NCコードを出力

トラブル発生時の実務的な対応方法

シミュレーションで問題が見つかった場合は、以下のような対策をとります。

あらかじめ対応パターンをマニュアル化しておけば、オペレーター教育や夜間稼働時にも有効です。

シミュレーション機能の使い方とポイント

精度と効率を高める設定ポイント

シミュレーションはただ実行するだけでなく、設定を最適化することで精度と効率が大きく変わります。

まとめ

シミュレーション機能は、加工現場におけるリスク回避と効率化を支える必須の仕組みです。

事前にツールパスを再現・検証することで、不良品や設備トラブルを防ぎ、加工時間やコストの最適化につながります。

また、教育・標準化の観点でも効果的であり、今後の無人化・製造DX推進において欠かせない役割を果たすでしょう。

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【課題別】2.5D・3D・5軸加工に対応
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  •        
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※1.参照元:OPEN MIND公式サイトhttps://www.openmind-tech.com/jp/about-us/
※2.サポート対象加工機に一部制限あり
※3.参照元:AUTODESK公式サイト https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview
(情報は2025年6月6日時点)