医療機器業界では、高精度な製品を安定して製造できる体制づくりが求められています。本記事では、医療業界が抱える課題を踏まえ、CAD/CAMソフト導入のメリットや注意点を解説します。
医療機器業界でCAD/CAMを導入する5つのメリットをご紹介します。
多くの現場では、ベテラン技術者の経験や感覚に依存した加工が続いており、作業の属人化という課題を抱えています。
CAD/CAMソフトを導入することで、加工条件やツールパスをテンプレートとして保存・共有することが可能。誰が作業しても一定の品質が保った加工ができるようになります。標準化された手順に従えばミスも減少。教育の負担も軽減され、現場の再現性が大きく向上します。
医療機器の部品には、インプラントや外科用器具など、非常に複雑かつ微細な形状が多くあります。
5軸加工や複合加工に対応したCAD/CAMソフトを使えば、1回の段取りで多方向からの加工が可能になり、高精度かつ安定した品質で仕上げることが可能です。部品の精度を保ちつつ加工時間も削減でき、品質と生産性の両立を実現できるでしょう。
操作が難解でベテランしか扱えないソフトでは、若手の育成が進まず、長期的な生産力確保が困難です。
2020年以降に登場したCAD/CAMソフトは、分かりやすいUIや操作ガイドが充実しており、未経験者でも迷わず扱える設計になっています。OJTや口頭伝承に頼らずとも一定の操作水準を習得でき、教育担当者の負担が減少。短期間で即戦力となる人材を育成することが可能です。
医療分野で使用されるチタンやPEEK、コバルトクロムといった難削材では、加工条件の選定ミスが品質不良や工具破損の原因になってしまいます。
CAD/CAMソフトの中には、こうした材料ごとの推奨条件をデータベース化する機能や、自動割り当て機能が備わっている場合があります。安定した条件設定が可能になれば、品質のばらつきや作業者間の違いを減らすことができるでしょう。
設計変更が頻繁に発生する医療機器の製造では、CADとCAMが分離していると、データの再入力や二重管理が発生し、作業効率が大きく低下してしまいます。
CAD/CAMを連携させれば、設計情報の変更が加工工程に即座に反映され、手戻りや無駄な再加工を防ぐことが可能。部門間の情報共有もスムーズになり、全体の工程効率を向上させることができます。
医療機器の製造現場では、高精度加工や短納期対応、人材教育の効率化といった多くの課題があります。ここでは、実際にCAD/CAMソフトを導入して現場の改善につながった2つの事例をご紹介します。
導入前はCAMソフトの操作習得に時間がかかる上、サポートもあまり受けられない状態でした。
FeatureCAMを導入後は、短期間での操作習得が可能となり、スタッフのスキルが底上げされました。生産効率も改善し、組織全体の加工レベルが向上。医療機器の一貫生産体制の中で、NCデータの作成がスムーズに行えるようになり、作業のムダや属人性といった課題を解決できました。
従来の2.5次元CAD/CAMでは、5軸加工のNCコードを手書きで補うなど非効率な運用が続いていました。
OneCNC導入後は、分かりやすいインターフェースと高性能なシミュレーション機能により、5軸ツールパスの作成が簡単に。歯科用器具の複雑形状加工もスムーズな対応ができるようになりました。同時5軸の活用で、生産性と設計自由度も向上しています。
さまざまなメリットがあるCAD/CAMですが、医療機器業界で導入する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。
医療機器の加工には、チタンやPEEK、コバルトクロムといった難削材が使われることが多く、一般的な加工とは異なるノウハウや設備が必要です。
対応するCAD/CAMソフトであれば、材料特性に応じた推奨条件の呼び出しや加工条件の調整支援が可能です。工具負荷の予測や速度制御機能など、材料に適した制御が行えるかどうかを事前に確認しておきましょう。
CAD/CAMで作成した加工データを実際の工作機械で確実に動かすには、機械ごとに異なる命令形式への対応が不可欠です。
これには、機械に合わせた変換プログラム(ポストプロセッサ)の有無と精度が重要です。データが正しく反映されないと、加工エラーや事故の原因になるため、自社設備との連携実績や対応機種の範囲をよく確認してください。
高機能なソフトでも、現場の人材が使いこなせなければ意味がありません。
UIのわかりやすさや、操作ガイド・ヘルプ機能の充実度を確認しましょう。導入時に行われる研修の内容や、アフターサポートの手厚さも重要です。特に教育リソースが限られている現場では、マニュアルやテンプレートの提供、定期的なフォローアップなど、教育支援体制が導入の成否を左右します。
医療機器のように製品点数が多く、仕様変更も発生しやすい業界では、過去の加工条件や手順を再利用できる仕組みが重要です。
加工履歴の自動保存や、テンプレートの登録・呼び出しができるかを確認しましょう。作業者が変わっても同じ品質を再現できる機種なら、ノウハウの継承や業務の効率化もスムーズです。
ソフト選びをする際は、機能の多さや知名度だけでなく、自社の課題と目的にマッチしているかを基準にすべきです。
属人化を解消したいのか、教育を省力化したいのか、それとも精度やスピードを重視したいのか。目的が明確であれば、必要な機能が見えてきます。課題に合ったソフトを選ぶことで、長期的な運用の満足度も高まるでしょう。
医療機器の製造現場で活用されている代表的なCAD/CAMソフトをご紹介します。高精度加工や5軸対応、教育支援など、それぞれの特長を比較しながら、自社に合ったソフト選びの参考にしてください。
FeatureCAMは、操作習得がしやすく自動加工機能も充実しているため、作業の効率化や人材のスキルアップに効果的です。
医療機器のような高精度な部品製造にも対応し、一貫生産体制の中で短時間でNCデータを作成することが可能。属人化の排除や教育負担の軽減ができるソフトとして、各分野で導入が進んでいます。
OneCNCは、操作性の高さと導入コストのバランスに優れたCAD/CAMソフトです。
5軸・複合加工にも対応しており、特に歯科用器具のような複雑で微細な医療部品の加工に適しています。分かりやすいUIや高精度なシミュレーション機能も魅力。小規模~中規模現場でも扱いやすく、高付加価値な製品づくりを支えています。
医療機器製造の現場では、熟練技術者の減少や教育リソースの不足といった課題が深刻化しています。CAD/CAMソフトの導入は、属人化を防ぎながら、技術やノウハウを「再現可能なかたち」で残す手段の一つです。
操作の標準化や加工履歴の蓄積ができれば、若手が活躍しやすくなる上、設計と製造の連携強化によって品質と生産性を両立させることができます。まずは自社の課題を明確にし、現場にフィットするソフトを選んでみてください。
複雑化する加工ニーズに応えるには、目的や工程に応じたソフト選びが欠かせません。
本特集では、2.5軸〜5軸加工に対応したソフトを「属人化防止」「ロボット連携」「低コスト運用」などの観点からわかりやすく整理。現場の課題にフィットする1本を選ぶための視点を提示します。
5軸分野における実績多数
NCシミュレーションも実装
必要最低限の機能が
月額1万円台から運用できる
※1.参照元:OPEN MIND公式サイトhttps://www.openmind-tech.com/jp/about-us/
※2.サポート対象加工機に一部制限あり
※3.参照元:AUTODESK公式サイト
https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview
(情報は2025年6月6日時点)