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PowerMill

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PowerMillとは?

PowerMillは、Autodeskが開発した高精度・高難度加工に特化したCAMソフトです。テンプレートやマクロによる自動化機能で、属人化を解消しながら安定したツールパス作成を実現。5軸加工や複雑形状の切削にも対応し、設計変更への柔軟な追従や短納期対応にも強みを発揮します。主な機能や導入メリットを詳しく紹介します。

PowerMill
引用元HP:Autodesk Fusion with PowerMill
(https://www.autodesk.com/jp/products/powermill/overview)

PowerMillの注目の機能

属人化を解消し、現場の生産性を平準化

PowerMillの「ユーザー定義の自動化(テンプレート/マクロ機能)」は、加工条件やツールパスの生成ルールをテンプレート化し、社内で共有することで、担当者による品質のばらつきを抑制できる機能です。

5軸加工での工具アプローチ角や干渉回避の設定など、熟練オペレーターが使う加工パターンを標準化すれば、習熟度に関係なく同等レベルのNCプログラムが短時間で作成可能。 従来のように「経験者にしか扱えない」「段取りに時間がかかる」といった属人化の課題を解消し、教育時間や段取り時間の短縮、工程の安定化を図ることができます。

複雑な加工を効率よく内製化

マクロ機能を使えば、複数の操作を一括処理。工具選定や座標設定、加工パス生成といった工程を自動化することができます。これまで外注していたブリスクや深リブ形状などの高精度部品も、社内で行えるようになるでしょう。また、設定の流れが定型化されることで、少人数の加工現場でも無理なく対応することが可能。従来の手法では、形状再現に時間がかかり、設計と加工の連携精度が求められるものも、短い作業時間で安定した品質の仕上がりを実現できるようになります。

PowerMillが導入される業界と
解決できる課題

PowerMillは、精密金属加工、医療機器、防衛・造船、エネルギー設備といった高精度・高信頼性が求められる業界で導入が進んでいます。インプラント部品や深リブ形状など、複雑な3D形状の加工を安定して行いたい現場では特に、PowerMillの5軸対応とツールパス自動化機能が有効です。

また、段取りや検証にかかる時間の長さ、生産工程の属人化といった課題にも、テンプレートやマクロによる標準化機能で対応が可能です。加工精度の安定、作業時間の短縮、外注の内製化ができるため、生産性と品質の両立を図りたい現場におすすめです。

このサイトでは、「属人化防止」「低コスト導入」「ロボット連携」など、課題別にCADCAMソフトを紹介しています。自社の状況に合ったツール選びをしたい方は、ぜひ参考にしてください。

PowerMillを開発した
Autodeskとは?

製造業向けソフトウェアを
提供するグローバル企業

PowerMillの開発元であるAutodesk Inc.は、米国に本社を置くソフトウェア企業で、CADやCAMをはじめとする3D設計・製造支援ツールを世界各国で提供しています。

AutoCADなどの設計ソフトで広く知られており、製造分野ではFusion、PowerShape、Moldflowなど、設計から加工、解析までを支援する製品群を開発。日本国内では東京・大阪・名古屋に事業拠点を展開しています。

PowerMillの評判

Quest Industries社
【金型製造メーカー】

生産性が50%アップしました

PowerMillの自動加工によって、製造部門全体の生産性を50%も高めることができました

Naval Group社
【造船業】

非常に信頼しています

当社の防衛産業事業を支援してくれるパートナー、オートデスクには全幅の信頼を置いています

PowerMillの導入事例

Granta社
【医療用インプラントメーカー】

導入前

頭蓋骨の大部分を置換する複雑なインプラント加工では、生体適合性素材であるPEEKを高精度で削り出さなくてはなりません。しかし、従来の手法では形状再現に時間がかかる上、設計と加工の連携もうまくいっていないような状態。複雑な有機形状に対応できるCNC加工の制御や再現性の確保に課題を抱えていました。【英語翻訳】

導入後

PEEK素材を使用した複雑形状のインプラント加工にPowerMillを活用。5軸CNCマシンに対応したCAM機能により、設計データとのズレを最小限に抑え、複雑で有機的な形状を高精度に切削することができました。

インプラントは初回で患者の頭蓋骨に適合し、手術もスムーズに進行。PowerMillを導入したことで、医療用カスタム部品の再現性と加工精度を確保し、外注に頼らず自社内で一貫した製造体制を築いています。【英語翻訳】

NOV FGS社
【構造部材メーカー】

導入前

海洋・インフラ向けに大型のグラスファイバー構造物を製造していましたが、設計変更への対応が遅れ、古い2D図面に基づく加工ミスや長いリードタイムが課題でした。製造開始後に設計が更新されることもあり、現場では旧データで作業が進んでしまうリスクも抱えていました。【英語翻訳】

導入後

PowerMillとVault for PowerMillの導入により、設計データとCAMの連携が強化され、5軸CNC加工の精度と一貫性が向上。最新の変更を反映したシミュレーションにより衝突リスクも排除できるようになりました。

また、手作業で30分かかっていた穴あけ工程が6分に短縮。旧バージョンの図面を製造部門に送ったり、後から変更された部品を製造したりして多くの工数を無駄にすることもなくなりました。【英語翻訳】

PowerMillの評判・事例の傾向

再現性と対応力で選ばれるCAMソフト

PowerMillは、複雑形状や精密加工を伴う現場で「再現性の高い切削が行える」という点が評価されています。たとえば、自動化による生産性の向上、インプラント加工における初回からの高精度な適合、工程短縮につながる5軸穴あけの自動化など、導入企業が得た成果はいずれも実務に直結するものです。

ツールパスの自動生成や加工前のシミュレーション機能を備えているため、複雑形状の高精度加工を求める企業におすすめです。設計変更に柔軟に対応しながら、品質と工程の安定性を確保したい現場で特に役立つでしょう。

PowerMillの
導入メリットは?
こんな企業におすすめ

加工ノウハウをテンプレート化して標準化できる仕組みや、5軸CNC加工に対応した高精度なツールパス制御を備えていることから、複雑形状や高精度部品の加工を求める製造業に適しています。

また、Fusion 360との連携によって、常に新しい設計データに基づいて加工工程を進めることが可能。設計変更が頻繁なプロジェクト、短納期での対応が求められる現場でも活用できるでしょう。

PowerMillの基本的な機能

製品に関する動画は確認できませんでした。

ユーザー定義の自動化

加工条件やツールパスの設定手順を、テンプレートやマクロとして登録できるため、あらかじめ定義されたフローを呼び出すことで、誰でも一定の品質を保ったNCプログラムを短時間で作成可能です。

機械加工シミュレーション

CNC工作機械の3Dモデルを使って、加工前にツールパスの動作を再現します。視覚的に確認しながら、干渉やオーバートラベルのリスクを事前に検出できます。

ツールパスの最適化

生成されたツールパスは、再計算せずに部分的な編集や順序変更が行えます。セグメント単位で選択し、必要な箇所だけを修正。急な設計変更や加工順の見直しにも柔軟に対応できる調整機能です。

ハイブリッド製造

DEDやFFFなどの積層造形と切削加工を一連のプロセスとして構築できます。造形フェーズの直後に仕上げ加工を行うことで、段取りを最小限に抑えられるため、補修加工や試作品製造といった用途に向いています。

業界固有の専門的な
ソリューション

ブレード、ブリスク、インペラーなど、特定部品の製造に特化した加工ストラテジーを標準で搭載。形状に応じたストラテジーを選ぶことで、複雑な形状にも対応できます。

PowerMillの価格・料金

プラン名 料金
Fusion with PowerMill Standard 1,248,500円(1年/1ユーザー)
Fusion with PowerMill Standard 3,746,600円(3年/1ユーザー)
Fusion with PowerMill Ultimate 1,871,100円(1年/1ユーザー)
Fusion with PowerMill Ultimate 5,612,200円(3年/1ユーザー)

※すべて税不明。

PowerMillのサポート体制

PowerMillに関するサポートは、Autodeskのサブスクリプションプラン(※)に応じて提供されています。

また、Autodesk Assistantを通じたチャット対応のほか、導入方法、インストール、ライセンス管理に関するFAQや技術資料もオンラインで参照可能。公式サポートページではPowerMill専用の項目が設けられており、トラブルシューティングの情報を製品別に確認できます。

PowerMillのセキュリティ対策

PowerMillのセキュリティ対策に関する詳細な情報は、確認できませんでした。具体的な対策についてはお問い合わせください。

PowerMillのよくある質問(FAQ)

Autodesk Fusion with PowerMill の
用途を教えてください。

モールドやダイ、工具などの大型かつ複雑な部品の加工に適したCAMソフトウェアです。3軸・5軸のフライス加工機をはじめ、5軸複合旋盤や産業用ロボット、ハイブリッド製造装置など、多様なCNCハードウェアの制御に使用されます。

PowerMill を複数の
コンピューターに
インストールできますか?

PowerMillのサブスクリプションでは、1名の指名ユーザーに限り、最大3台のコンピューターやデバイスにインストールできます。ただし、同時に使用できるのは1台のみです。Autodeskのソフトウェア使用許諾契約を参照ください。

PowerMill Standard と
PowerMill Ultimate の
違いは何ですか?

PowerMill Standard:2.5軸フライス加工、基本的な旋盤加工、3軸および3+2軸のCAMプログラミングに対応しており、仮想マシンシミュレーションによってツールパスのシミュレーションと検証も可能です。

PowerMill Ultimate:上記機能に加えて、5軸加工、ロボットのオフラインプログラミング、自動電極加工、ハイブリッド製造などが利用可能です。さらに、ポートやブリスクなど製造に特化したツールパス機能も含まれます。用途に応じて選択されると良いでしょう。

PowerMillの販売元企業情報

企業名 オートデスク株式会社
所在地 東京都港区虎ノ門1-23-1 虎ノ門ヒルズ森タワー 8F(国内事業所・本社)
公式HP https://www.autodesk.com/jp/products/powermill/overview
まとめ

PowerMillは、ツールパスを精緻に制御できるほか、加工ノウハウをテンプレートとして登録・共有することができます。このため、複雑な3D形状や精密部品の加工でも、作業者による品質のばらつきを抑えながら、高い再現性と効率性を保った運用が可能です。 また、Fusion 360と連携すれば、更新された設計情報を加工フローに即時反映させることが可能。設計変更が頻繁なプロジェクトでも、手戻りや再プログラミングの工数を削減できるでしょう。

これらの特長から、PowerMillは、高精度な加工や短納期対応が求められる製品の内製化や、多品種少量生産の効率化といった用途に向いています。

CADCAMソフト選びで失敗しないためには、自社の課題や用途に合った製品を比較することが大切です。

このサイトでは、「属人化防止」「低コスト導入」「ロボット連携」など、課題別にCADCAMソフトを紹介しています。ぜひ、自社の状況に合ったツール選びの参考にしてください。

【課題別】
CADCAMソフト
おすすめ3選
【課題別】2.5D・3D・5軸加工に対応
CADCAMソフトおすすめ3選

複雑化する加工ニーズに応えるには、目的や工程に応じたソフト選びが欠かせません。
本特集では、2.5D〜5軸加工に対応したソフトを「属人化防止」「ロボット連携」「低コスト運用」などの観点からわかりやすく整理。現場の課題にフィットする1本を選ぶための視点を提示します。

5軸・複合加工なら

5軸分野における実績多数
NCシミュレーションも実装

hyperMILL
hyperMILL    
引用元:OPEN MIND公式サイト
https://www.openmind-tech.com/jp/cam/product-overview/
hyperMILLの強み
           
  • 全世界で2万ライセンス以上の導入実績を誇り※1、干渉回避動作を含めた傾斜軸の制御を指定した角度範囲内で自動処理。機械動作シミュレーションもNCコードで実行可能。※2
  • 形状要素の自動認識機能とテンプレート化された加工工程を組み合わせることで、一連の加工パスの自動生成も可能
低コスト運用なら

必要最低限の機能が
月額1万円台から運用できる

Fusion360
Fusion360
引用元:AUTODESK公式サイト
https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview
Fusion360の強み
           
  • 月額12,100円(税込)〜のサブスク制※2で、コストを抑えた導入が可能。クラウド運用のため、サーバーの設置も不要。
  • CAE(解析)や PCB(電子回路)まで追加費用なしで使用できる。
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DX・FAを叶える
SprutCAM X
SprutCAM X
引用元:SprutCAM Tech公式サイト
https://sprutcam.com/ja/
SprutCAM Xの強み
  • 6軸・7軸など複合軸のロボット制御が可能。産業アーム加工に対応。動作範囲・姿勢制限を考慮したツールパス・Gコードを生成できる。
  •        
  • KUKA、FANUC、安川電機、ABBなど幅広いロボットメーカーの製品に対応。

※1.参照元:OPEN MIND公式サイトhttps://www.openmind-tech.com/jp/about-us/
※2.サポート対象加工機に一部制限あり
※3.参照元:AUTODESK公式サイト https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview
(情報は2025年6月6日時点)