CAD/CAMを用いた設計や加工において、座標系の理解は欠かせない要素と言えます。本記事では、CADとCAMそれぞれの座標系の役割や違いをはじめ、データの受け渡し時の注意点について分かりやすく解説していきます。
空間上の位置を数値で正確に表すための基準となる仕組みが、座標系と呼ばれます。CADやCAMのソフトウェア内には仮想的な3次元空間が存在しており、そこに部品の形状を描いたり、加工するための経路を計算したりするわけです。この仮想空間において、どこが基準(原点)であり、どの方向が縦・横・高さ(X・Y・Z軸)にあたるのかを定義しなければ、正しい位置関係を把握できません。座標系が存在することで、コンピュータは図面の寸法や加工ツールの動く位置を正確に認識し、処理を行うことが可能になります。
座標系の考え方には、大きく分けて二つの種類が存在しています。ひとつめは、空間全体に対してただ一つだけ設定される固定の基準点を持つ「絶対座標(ワールド座標)」です。すべての位置情報はこの絶対的な原点から計算されるため、全体の配置を管理するのに適しているでしょう。ふたつめは、特定の部品や作業面など、任意の場所に自由に設定できる「相対座標(ローカル座標)」になります。複雑な形状を設計する際や、特定の部品を基準にして加工の計算を行う場合には、この相対座標を用いることで作業の効率化が期待できると考えられます。
設計ソフトであるCADにおいて、座標系はモデリング作業の出発点としての役割を担います。設計者は画面上の絶対座標の原点(X、Y、Zがすべて0の位置)を基準にして、線を引き、立体を作り上げていくのが一般的な手順です。部品のサイズや穴の位置などの寸法も、この座標系をベースにして定義されていきます。また、複数の部品を組み合わせて一つの製品にするアセンブリ設計においては、各部品が持つローカル座標系を親となるワールド座標系に合わせて配置していくことで、正しい組み立て状態をコンピュータ上で再現できるようになっています。
一方で、加工データを作成するCAMにおける座標系は、実際の工作機械を動かすための基準となります。工作機械には機械そのものの基準である機械座標系がありますが、CAMで設定するのは主に材料(ワーク)に対する加工の開始点である「ワーク座標系」と呼ばれるものです。CADで描かれたモデルの原点と、実際に工作機械にセットされた材料の原点が一致していなければ、意図した通りの場所に刃物が当たりません。そのため、CAM上では材料の角や中心など、実際の加工現場で基準を合わせやすい位置に新たに座標系を設定し直す作業が求められます。
設計から製造へスムーズに移行するためには、CADとCAMの間で座標系の認識を一致させることが重要になってきます。CADで設計したモデルデータをCAMに読み込んだ際、多くの場合、CAD上で設定した原点がそのまま引き継がれる仕組みです。しかし、CADの原点が加工に適していない位置にあると、CAM側で経路計算を行う際に不都合が生じる恐れがあります。これを防ぐためには、設計段階であらかじめ加工時の基準となる位置を予測して原点を設定しておくか、CAMソフト上でモデルを適切な加工原点の位置へ移動・回転させるという調整作業が必要になると言えるでしょう。
設計図を描くための基準となるCADの座標系と、実際の機械加工の基準となるCAMのワーク座標系は、それぞれ異なる目的を持っています。これらの違いを正しく理解し、データの受け渡し時に適切な設定を行うことが、スムーズで高精度なものづくりに繋がるはずです。日々の業務において、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。
複雑化する加工ニーズに応えるには、目的や工程に応じたソフト選びが欠かせません。
本特集では、2.5軸〜5軸加工に対応したソフトを「属人化防止」「ロボット連携」「低コスト運用」などの観点からわかりやすく整理。現場の課題にフィットする1本を選ぶための視点を提示します。
5軸分野における実績多数
NCシミュレーションも実装
必要最低限の機能が
月額1万円台から運用できる
※1.参照元:OPEN MIND公式サイトhttps://www.openmind-tech.com/jp/about-us/
※2.サポート対象加工機に一部制限あり
※3.参照元:AUTODESK公式サイト
https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview
(情報は2025年6月6日時点)